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−中国−

茶と書

〜 日本ミシュランタイヤ(株) 〜


路上の書道家たち

  中国淅江省杭州市、世界で最も美しい湖のひとつと称えられる西湖。この湖岸に
位置する国内唯一の茶葉博物館で、中国茶の種類の多さに驚いた。同じ茶葉を使っ
ていても、発酵の度合いに応じて実に多くの種類の茶が生み出されるのである。白茶、
黄茶、青茶、緑茶、紅茶、黒茶と、色で分けても6種類あり、実に多様だ。
こちらのレストランでは、一般的にお茶は注文するものであり、高級なところへ行けば
行くほど、用意しているお茶の種類も多くなる。
  他方、中国の首都北京市、日壇公園。地面に向かって巨大な筆を走らせる男性達
の姿がある。使っているのは墨でもインクでもなく水、筆の先は円錐形をかたどった
スポンジである。さっと水に筆先を浸し、乾いた石畳を半紙に見立て、さらさらと軽快
な筆さばきで文字を書く。聞くと暗記した漢詩を書いているのだそうだ。
筆が止まるとあんちょこを取り出し、周りの石畳が文字でいっぱいになるまで、また
延々と書き続ける。
  茶の歴史は古く、紀元前2世紀まで遡り、漢字に至っては、約4000年前の甲骨文が
そのルーツである。とかく工業化が注目される中国だが、今日もまだ茶は人々の喉を
潤し、書はその形を変えて親しまれている。