海外短信 −イギリス− |
産業革命時代の面影と共存 〜 フタバ産業 〜 |
七年前、バーンリー市にあった既存の自動車部品メーカーを引き継いで新たに合弁で発足した当社は赤いレンガ造りの年代物。百年前の地域地図をみると今の建物群のままの輪郭がしっかり表示されている。 会社のすぐ近くにローズグローブという小さな無人駅があるが、その地図を見るとかつてそこに大きな操車場があり、綿織物の一大取扱い駅として産業革命の一翼を担っていたことが分かる。 また、会社の脇を運河が通っている。英国中部のリーズからビートルズが誕生した都市リバプールまでをつなぐ全長約二百キロの英国屈指の運河である。かつて運搬船が行きかったこれも産業の大動脈であった。 この運河に沿って歩道があり、何回かにわけて全線を歩いた。その時の挨拶の多くが冒頭の「オーライ」である。イングリッシュ・ウェザーといわれる安定しない天気が多いため、日本人以上に彼らは天候を話題にする。北緯五十四度の割に気候は温暖。名古屋に比べると夏がとてもすごし易い。 田舎のため人々はのんびり。最近新しい建物もちらほら見られるが多くは昔のまま。少しドライブすればピーターラビッドで知られた湖水地方、ブロンテ三姉妹の暮らしたハワース、城壁の町チェスター等、英国の歴史に触れる機会も多い英国中部である。
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