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−中 国−

偽物の効用?

〜 住友金属工業梶@〜


恵州住金鍛造有限公司 総経理の宮本さん
 

 恵州住金鍛造有限公司は、広東省恵州大亜湾に、住友金属工業・住友商事・(独)ThyssenKrupp Gerlack3社により設立した鍛造クランクシャフトの製造・販売会社です。2004年11月より操業開始、住友金属工業として日本・米国に続く第三の生産拠点です。

  中国で店頭に“假一罰十”と書いた看板を表示している店があります。“うちで買った物で偽物があったらお詫びの印として偽物一個につき本物十個差し上げます”、即ち“うちの品物には偽物はない”との意味です。中国にはあらゆる物に偽物があります。私が住んでいるシンセン市にはいわゆる“バッタ屋”がそこら近所にあります。ルイヴィトン・セリーヌ・ローレックス・・・といったブランド品から日本のTVドラマのDVD・CD・・・・。“このルイヴィトンのバッグは裏皮もついており本物より良いよ”といった調子で偽物と明言して売っています。駐在当初は、このバッタ屋で価格交渉をする事が中国人・中国語を勉強する良い機会でした。まずバッタ屋のオファー価格を聞いて指値をし、時にはこの価格では買わないと店を出る仕草をし、最後はたかが日本円で50〜100円の僅かな金額ながら真剣に交渉し、お互い相手に勝ったと思いながら最後に握手をして交渉成立。表示価格通り買う事になれている私にとっては、日本では味わえない経験であり、拙い中国語もそれなりに通じるようになりました。

 WTO加盟に伴い中国政府は国際レベルの知財に関する法令は整備したものの、その法制度の執行はまだまだ不十分です。日本は欧米諸国との協力・官民一体の取り組みにより知的財産権の早期確立を求めると共に、我々も充分なリスク対策を講じる必要があります。
  “上有決策、下有対策”の中国ですが、知的財産権が保護され公平な競争が行える市場に早く成長して欲しいものです。