〜世界とともにある企業〜
 
おじゃまします  ―協豊会 矢崎関東地区副会長に聞くー


 
 協豊会広報委員会は8月1日、矢崎総業鞄結椁{社において、
矢崎関東地区副会長(矢崎総業梶@代表取締役社長)にインタビューを行いました。
矢崎総業さんは、トップシェアの自動車用電線を中心に多くの製品を販売されている世界有数の自動車部品メーカーで、世界39ヶ国に事業展開されています。
 矢崎副会長には社是でもある「世界とともにある企業」というテーマを中心にお話を伺いました。


矢崎関東地区副会長

◆矢崎総業さんの会社概要と沿革についてお聞かせください。

 当社は、矢崎貞美創業社長が矢崎電線営業部という合資会社を1938年に新橋で設立し、その後1941年に矢崎電線工業(矢崎総業の前身)を製造会社として創業したのが、スタートとなります。
矢崎電線工業設立から今期で67期目に入っております。
1962年に初の海外としてタイに電線工場をタイ政府の近代化要望に応じて設立し、進出しました。
当時、日本は高度成長期で皆さん国内に目を向けており、海外進出に対する魅力が低かったのですが、この時の決断がその後の海外展開につながったと考えています。
特に外国に対するコンプレックスが無くなり、会社として海外が身近になったと思います。
1963年の矢崎総業への社名変更を経て、現在に至っております。

 今、世界39ヶ国に進出し、170社で世界従業員は19万5千人、売上高は1兆2800億円です。トヨタさんを初めとした自動車業界の発展とともに業績も順調に伸ばさせて頂いています。

経営的には、日本、アメリカ、欧州、アセアン、中国の5本社制を敷いており、各本社に地域毎の管理を任せています。
世界的に経営してゆくうえで大事だと考えているのが「グローカル」という言葉で、
「Think globally Act locally」即ち全体として戦略を考えた上で、
実際にはローカルに適したアクションをすることが必要と考えています。
進出国に受け入れられるにはどうすれば良いかが大きなテーマであり、日々悩んでいます。


◆ 世界とともにある企業、多文化企業としてのグローバルでの取り組みをお聞かせください。

 世界同時立ち上げ、世界同一品質、世界最適調達を目指して努力していますが、やはりものは需要のあるところで作るべきと考えています。
産業の移転は必然であり、海外生産を積極的に進めることで世界に貢献し、貧困を無くしたいと願っています。
ただ世界で事業を進める為には、歴史、文化からくる価値観の違いを認識し、価値観の差を明確化し、埋めてゆきたい。その中で本当のグローバリゼーションになるかと思っています。
人材教育は、異文化を体験させることが大事と考え、海外からの受け入れあるいは日本からの海外研修も現地で一緒に住み、文化を体験し、それで初めて価値観を少しながらも理解出来るようになる。今でも世界各地でこんなにも価値観が違うのかといつも感じています。

 また世界各地の作業標準も各言語の言葉の裏にある意味をもう一度点検しようと取り組んでいます。本当にプロセス、目的をきっちりと理解できているのか、新しい環境に適応するためにいいものは残し、だめなものは変えてゆくことを実行したいと考えています。

 


◆ 環境、安全、品質への取り組みに関してお聞かせください。

 環境、安全、品質はマスト事項として全社を挙げて取り組んでいます。
ただ例えば環境に関して、本当に我々は何をやるべきなのか、本当に分っているのか今、大反省しています。
7%CO2削減に関しても本当に海外含めて、矢崎として達成できるのか心配しています。
各国によって基点となる年度が異なっていたり、環境に関する法律も整備できていない中でどう対応してゆくのか、さらに森林のCO2吸収量が前提から半分しかないというような見方も一部では出てきました。そう言った中で、矢崎総業としてCO2削減のために何ができるのか10いくつのテーマに絞って貢献できることはやろうと夢を持って、環境、品質、安全に取り組んでいます。

 もうひとつの課題としては、コンプライアンスだと考えています。
同じ国際法の中でも解釈の違いで、日本、アメリカでは受け取り方が違うケースがあり、守っていると思っていても国が違うと守っていないことにもなりかねない。
一企業では対応に限界がありますので、国や産業界で取り組んで頂く必要があると考えています。
実態に合ったコンプライアンスをどうやって進めるか世界レベルで見直しており、その時に環境、品質、安全面で矢崎として初めて胸を張れると考えています。



◆ 関東地区副会長としての協豊会活動についてのお考えをお聞かせください。

 お互いが勉強し合って、目的を共有して、それに向かってお互いに協力し合う協豊会活動は大変すばらしいと思っています。
グローバル化してゆくトヨタさんを中心にどうやってその考え方、協力会社との真のパートナーシップを世界に広めてゆくのか大きなチャレンジとして是非取り組みたいと考えています。
世の中の為になることであり、相互信頼に基づくコミュニケーションを現地の方々にどう分ってもらうか、現地協力会社との信頼感、一体感をどう作り上げるかたくさんやるべきことがあります。
やるべきことがたくさん有って楽しいですよ。

 
◆ その他ご趣味、座右の銘がありましたらお教えください。

 私はずっとラグビーをやっておりまして、ラグビー精神である
「One for All, All for One」という言葉は好きです。
やはり自分だけが良いという世の中ではいけないと思いますし、
この言葉を本当に大事にしたいなあと考えています。
矢崎の社是を守り、自分の生き方をしっかりと持っていたいと思って
います。
最近、やさしさや皆が仲良ければそれでいいという風潮があり、その中で本質を見失っているように思えます。
まあいいやという考えが最後に会社を危うくしかねない。
だめなものはだめと言えることがリーダーシップにとって大事です。
大変ですけど、厳しさを持って、しっかりと管理することを実践して
ゆきたいと思います。



           矢崎副会長を囲んで
    山田広報委員(住友ゴム工業梶@取締役常務執行役員):左
   石塚広報委員長(太平洋工業梶@常務執行役員):右から2人目
     鈴木事務局長:右