〜グローバルな事業展開〜
おじゃまします ―協豊会 佐々木関東地区代表副会長に聞くー 協豊会広報委員会は10月6日、日本発条鞄結桾ェ館において、佐々木関東地区代表副会長(日本発条梶@代表取締役会長)にインタビューを行いました。
日本発条さんの東京分館は、山手線の、新橋駅近くにあり、中部地区からでもアクセスが非常に便利なところに位置しています。インタビューを行った18階からは、目の前に国会議事堂が望めます。 日本発条さんは、世界有数の自動車部品メーカーで、懸架ばねやシートなどの開発に力を入れられており、また早くから海外に事業展開されています。 佐々木代表副会長には「グローバルな事業展開」というテーマを中心にお話を伺いました。
◆日本発条さんの会社概要と沿革についてお教えください
当社は、高知(土佐)出身で、鈴木商店(日本の資本主義経済の勃興期に大きな足跡を残した商社)におりました坂本寿らが1936年に買収した「芝浦スプリング」からスタートしています。1939年には「日本発条」として横浜に設立、今年の9月に67周年を迎えました。トヨタさんとほぼ同時期の設立で、日本の自動車産業は大体このような感じだと思います。 操業当初からトヨタさんに大変お世話になっている自動車用ばねを皮切りに業容を拡大して参りましたが、自動車分野のみならず情報通信機器、産業・生活分野においても事業を展開しており、グローバルで高品質の製品作り・地球環境保全の推進に取り組んでおります。 国内に11の生産拠点、国内23社・海外23社の関連会社を有しており、2006年3月期の連結売上高は約3,800億円で連結従業員数は約1万名となっております。 当社の製品は、世界No.1のシェアを持つ自動車用懸架ばねや、自動車用シートのほか、小物精密ばね等を含め、国内外での自動車産業への依存率は約7割となっています。残り3割は自動車分野以外で、情報通信産業向けが大半です。 ばねにもいろいろあり、コイル状のばねでは、大きいものは線径が80mm、重さ400kgのものから、小さいものは線径18μm程度で、ばねにしてやっと髪の毛程度の太さのものまであります。この小さいものは、肉眼では1本の線にしか見えません。 自動車分野以外では、この細いコイルばねを使ったコンタクトプローブ(導通検査用のピン)や、HDD(ハードディスクドライブ)用サスペンション等、ジャンボジェット機を地上0.5mmで飛行させるほどの技術力を武器に、特に超精密加工品に注力をしております。 原子力発電用の配管サポートや立体駐車場、ゴルフのシャフトも手がけています。 67年の歴史の中で培ったばねに関する技術をコアとして、あらゆる分野に製品を提供することにより、豊かな社会の発展に貢献することを企業理念としております。 ◆グローバルな事業展開、特にBRICsでの最近の動きについてお聞かせください。 当社のような規模の会社としては極めて早くから世界に目を向けており、自動車メーカーとの密接な協力関係の下、グローバルな生産・供給体制の拡充を積極的に進めてまいりました。1963年(昭和38年)のタイへの進出を皮切りに、現在では10ヵ国23社にネットワークをひろげております。 地域との「共生」から始まる確かなモノづくりを進め、ユーザーが求める最新の技術水準の製品を常に高品質で供給できるよう日々努力を続けることが使命であり、そのために、特にグローバルで活躍できる人財の確保・計画的な育成に努めております。 私が入社した1961年(昭和36年)に、社内ではタイに工場を作る、という話が持ちきりでした。そしてトヨタさんより1年遅れで、トヨタさんの隣に工場を作りました。今から考えると、進出してほんとに良かったと思います。今では従業員は4,000人にもなります。 次に進出したのがブラジルで、約30年前になります。当時私は人事課長で、ブラジルに派遣される従業員や家族のお世話をしました。ブラジルの会社は現在ブラジルNo.1のばね会社に成長しました。当社ではBRICsの「B」はひと昔前に展開しています。 BRICsの他地域では、中国には懸架ばね・シート・精密ばね・HDD用サスペンション等の生産拠点8拠点を、インドには懸架ばねの生産拠点1拠点の関連会社を展開しております。残されたロシアへ展開についてもいろいろな切り口でのFSを進めている状況でございます。 ただ、トヨタさん首脳も兵站線が延びることによるいろいろな問題を懸念されておりますが、我々サプライヤーにも同様で、どの生産拠点でもQ・C・Dを高めつつ、スピードにも対処していくことが非常に大切と考えております。 ◆安全・環境・品質への取組みについてお聞かせください。 安全は、ほんとにすべての大前提です。 当社では、働く人の安全に対する感受性を高める目的で、繰り返し安全教育を習得する施設として「安全道場」を全社的に展開し、安全基本動作の徹底を図っています。これは、一般作業者はもちろん、管理監督者まで全員が参加している活動です。 安全については、これらの活動をとにかくやっていくしかありません。 環境保全については、92年に制定した「環境ボランタリープラン」に基づいて活動しています。制定当時に掲げた、産業廃棄物の再資源化をめざしたゼロエミッション活動などリサイクル活動もずいぶん進んできました。 品質については、「仕組みづくり(トップのコミットメント)」、「普及と推進」、「意欲と参加」、「実践活動(現場管理と品質保証)」、「顧客対応」、「製品開発」の6つの面があり、これらはどれも同じように大切と考えています。 品質は、ものづくりを行う企業の根幹であると認識し、あらゆる方策をバランスよく推進しています。
◆関東地区代表副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージについてお聞かせください 協豊会に参加しているとほんとに勉強になります。協豊会でのトヨタさんの発言を聞いていますと、自社では気がつかない、考えられないようなことが出てきて、多大の感銘を受けます。時々社内でもそのような話を使わせていただいています。 協豊会も1999年に三地区が一元化されて早7年程立ちますが、関東協豊会と呼ばれていた頃に遡ると、今年で60周年を迎えていたはずです。 この60年間を振り返れば、自動車産業は、オイルショック、円高問題、バブル崩壊と幾多の困難をその都度乗り越え、すさまじいばかりの発展を成し遂げました。 特に、トヨタさんにおけるここ10年余りの躍進振りについては正直に言って大変敬意を表しております。その地道、愚直なまでの不断のご努力を肌身で感じているだけに、おそらく近い将来実現するであろう世界一の座についても我がことのように心より喜びたい、その実現のために協豊会の所属する各サプライヤーは精一杯努力し、貢献しなければならないと感じております。 トヨタさんからいろいろな刺激を受け、サプライヤー自身が感じ、お互いに切磋琢磨し続けることが、トヨタさんとの健全なチームワークの構築につながると同時に、各サプライヤー自身を成長させることになるのではないでしょうか。そういったことを、今後も末永く引き継いで行くことが協豊会の存在意義であり、本旨・本質ではないかと考えており、個人的にも微力ではありますが貢献して行きたいと思う次第です。 ◆最後にご趣味、座右の銘についてお聞かせください 一番好きなのがスポーツ観戦で、特に野球のテレビ観戦です。野球の場合、いつ目をそらせても大体内容がわかります。ドラマの場合はそうはいきません。(笑) また、私は富山県の高校から神戸の大学に進みましたが、大学一年から始めた囲碁との付き合いももう50年になります。昔は田舎に帰省するたびに高岡市の棋院に通い徹底的に鍛えられました。そのおかげもあり、現在アマ6段でございます。最近、毎日新聞の神奈川版に対局が載ったこともございます。 また、ゴルフのお付き合いも多いですが、平均ストロークは95前後でしょうか。下手の横好きです。ただ、ホールインワンの経験は1度あります。 座右の銘は、「一隅を照らす」(一人ひとりがそれぞれの持ち場で全力を尽くすことによって、全体が明るく照らされていく)、「疾風に勁草を知る」(強風を受けた時に差が歴然と出る)です。当社の社員にも、希望と理想を捨てず、信念を持って困難に立ち向かうことを強く望んでおります。
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