〜『無謀』を『挑戦』に変えるマネジメント〜
おじゃまします ―石川東海地区代表副会長に聞くー 協豊会広報委員会は7月21日、潟\ミック石川・古川工場において、石川東海地区代表副会長(ソミック石川取締役社長)にインタビューを行なった。
ソミック石川さんは「創造(Creation)、未来(Future)、挑戦(Challenge)」を合言葉に、21世紀の「超」ボールジョイントメーカーとして躍進されている会社である。 また新分野への挑戦では、車のシートリクライナーなどの滑らかな動きを実現する「ディスクダンパー」の商品化が順調に進んでおり、グローバル化も含めて柔軟で先進的な取り組みをされている。 石川副会長には「グローバル化」というテーマを中心にお話を伺った。
◇会社の沿革についてお聞かせください
1916年に機会部品及びボルト・ナット類の製造メーカーとして浜松で創業しました。1937年にはトヨタ自動車工業鰍フ協力工場となり、自動車部品の製造を始めました。戦後、ボールジョイントの製造を手掛ける様になり、現在に至っています。 ◇海外展開の歴史についてお聞かせください 特許に関する問題が引き金となって、1968年に独エーレンライヒ社との技術援助契約を締結し、約1年3ヶ月 入社間もなかった私が独レムフェルダ社へ出向しました。若い時期に、日・独の物の考え方の違いを体験させて頂いたことが、後の海外展開に大きく役立っていると思います。 日米貿易摩擦の激化に伴い、「アメリカ製でなきゃ買わない」という風潮が出る様になり、当社としてもいつまでも「最小リスク」と言っていられなくなった。 周囲から「米国進出は無謀だ」と言われ逡巡していた際、ある人から「何も考えずに闇雲にやれば無謀だが、マネジメントによってそれを挑戦に変えることが出来る」と言われたことをきっかけに、その言葉に背中を押されるかたちで1989年 独レムフェルダ社と合併で米国に会社をつくった。以降 中国、インド、タイ、フランスと海外拠点を展開してきた。 合併会社をうまく運営していく為には、トップ間の「信頼関係」と「双方向コミュニケーション」が非常に大切だと感じている。
◇国内空洞化への対応、仕入れ先との協業についてお聞かせください
当時、当社の仕入先は規模の小さいところが多く、将来の「公害・環境対応」「後継者問題」等に懸念を持っていた。そして米国進出に伴う国内空洞化の心配があったこともあり、希望する5社を集めて「鉄工組合」をつくり、又、別の5社は合併してひとつの会社になってもらいました。 ひとつの建屋を共有することにより、工程別の考え方から製品別の考え方に変わり、協業によるものづくりへの取り組みを実施する様になりました。これにより、ノウハウの伝承、技術の共有化による後継者問題への対応、「仕入先との危機感の共有」、「ロイヤリティーの構築」が実現し、結果としてリスクマネジメントに繋がったと言えます。 ◇東海地区代表副会長として協豊会に思うことをお聞かせください 海外展開をやり始めて、「アライアンス」「パートナーシップ」の重要性を痛感しています。協豊会メンバーの会社がそれぞれ成長し、レベルアップして互いに、「Win-Win」の状態に持っていくことが大切だと思っています。人の身体に例えると、各器官の全てがバランスよく機能して初めて、人は健康な状態で仕事に立ち向かえるのです。その様に、私達は今、トヨタさんを中心とする協豊会各社がそれぞれ人の各器官になり、大きな目標に向かって力を合わせてゆきたいと思っています。どこか一部だけが頑張っても、全ての器官がしっかりした力量を持っていないと、全体としての力を発揮できないということです。 関東・東海・関西の各地区それぞれの風土をうまく生かして、3つの地区を併せた当時の狙いを風化させずにどうやって持続させていくのか?を考えていきたい。 ◇特に伝えたいメッセージは? 「外から中を見る」ということの大切さを感じられる人材育成をしていきたい。 〜海外から国内を見ることの大切さ 〜リタイアされた方々からの現役への意見の大切さ 等々 ◇ご趣味・座右の銘をお聞かせください 趣味は?と聞かれると困るのですが、「野菜づくり」と「音楽鑑賞」でしょうか。「野菜づくり」は人材育成に通じたところがあり、手をかければかけただけよい実ができるという楽しみがあります。 そして、音楽でも絵画でもそうですが、人は感動するものに触れると心が豊かになるのを感じます。 「座右の銘」と問われると迷わず、「無謀」はマネジメントで「挑戦」に変えられる!と答えます。 本日はお忙しい所、ありがとうございました。
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