協豊会タイムズ 詳細
~人材育成を通し企業体質強化~
 
おじゃまします  ―協豊会 成瀬東海地区副会長に聞くー

    協豊会 広報委員会は、8月19日、東海ゴム工業㈱本社に於いて、成瀬東海地区副会長
      (東海ゴム工業株式会社 会長)にインタビューを行いました。

    東海ゴム工業さんは、1929年のゴムベルト製造に端を発し、今年創業80年を迎えた
        歴史ある会社です。

    33年間継続中の「F研」制度を通し、創造力ある人材を育てる取り組み等についてお話
       を伺いました。


◆ 東海ゴム工業さんの会社概要、沿革についてお聞かせ下さい。

   1929年 三重県四日市市に「昭和興業株式会社」を設立。その後すぐに創業者の名前を採り「蒲
  田調帶株式会社」に改称、ゴムベルトの製造に従事していました。1929年は世界恐慌の時代でも
  あり、創業時は大変な苦労があったようですが、今年
創業から80周年を迎えました。
   1937年
株式会社住友電線製造所、現在の住友電気工業株式会社の経営参加があり、社名を「東
  海護謨工業株式会社」に改称し、工業用ゴム製品の製造にも着手。

   1954年
初代クラウンに防振ゴムを採用頂き、防振ゴムの事業化を図りました。
   1960年
愛知県小牧市に工場を開設、以降小牧市が主力拠点となっています。
   1961年 現在の「東海ゴム工業株式会社」へ改称を図りました。
   2008年度
売上は2,744億円、生産拠点は国内10ヶ所、海外18ヶ所です。事業内容は、
  防振ゴム・自動車用ホース等の「自動車用品部門」OA関係等の「IT関連部門」、産業用ホース・
  制振材等の「産業資材部門」と3つの事業体を成しています。
構成は80%が自動車用品部門であり
  国内/海外比率は、国内60%・海外40%となっています。

東海ゴム工業さんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。

   経営者は会社の経営や将来に対しコンセプトを持ち、それを形あるものに具現化し、共有化を図
  り、社員全員で達成を目指していく。それが基盤強化の一つの道筋になると思います。当社では、
  中期経営計画を制定しその達成を果たしていくことで、基盤強化を図っています。

  現在の中期経営計画は、「2012年ビジョン」であり、「創造・変革・挑戦」をビジョンテー
  マに掲げています。2012年に到達すべき事業性について、事業軸、企業風土軸、社会性軸、に
  ついて定性的、定量的に目標を定め、その達成を目指すことで企業基盤強化を図っています。その
  中で、人材育成の面からも体質強化に繋げていきたいと考えています。

  人材育成については、数年前までOJT主体でしたが、計画的に且つ幅広い人材育成を目的に
  「人材育成プログラム」を制定し取り組んでいます。
人材育成で一番難しい面は、成果を表す尺度
  がないことです。結果を捉えようとすると難しく、「人材育成プログラム」を実践することが成果
  に繋がっていると信じ、今を最善とせず、常に充実させ、継続させていくことが大切だと考えてい
  ます。

  現場教育は「F研」という制度があり、33年間続いています。各種現場から人を抜き、3人程
  の小集団で3ヶ月間活動させます。一般改善知識の座学をやり、その後は現場へ張り付き、各種現
  場から打ち上げられたテーマについて改善を図ります。改善に携われる場を提供する「教育」では
  ありますが、成果は求めることとしています。中間と終了時の2つの発表会があり、私も必ず
  参加します。3ヶ月経つと次のチームが活動を開始しますので、この制度は途切れることがありま
  せん。

  スタッフ人材育成の一環として、昨年11月から開始した「業績改善推進委員会」活動の一つの施
  策として「
S(スタッフ)-F研」活動を展開しました。この活動は、製造、技術部門のほか、
  営業、人事や経理部門などから60人を引き抜き、チームを編成して短期の小集団改善活動を推進
  するもので、
4ヶ月間で15テーマの課題改善に取り組んでもらいました。これまでの量対応に追
  われてやり残してきた経営課題が多々あり、現在の経営環境こそ積年の課題に取り組めるチャンス
  と考えて改善活動を推進しました。合せて、人事や経理部門等、これまで生産現場の改善活動に携
  わったことがない人たちが、現場に足を運び、物を見、要因を分析し、改善策を練ることを通して
  仕事の見識を広める人材育成の側面を期待して推進したわけです。


   海外経営者層には「海外経営者の育成プログラム」を行っています。東海ゴムで培ってきた考え
  方やエキス、生産技術などをスムーズに展開し、早期の経営の安定化と世界同一品質を実現する為
  の指導的役割を担ってもらっています。

  人材育成とは何だろうとよく考えるのですが、現状に疑問を抱いたり、その疑問を分析したり仕
  組みを変えたり、そこから何かを産み出そうとする、創造性を身に付ける、そういった資質を持っ
  た人を作り上げていくことが、人材育成の理念と考えています。その目標に到達できるための教育
  ・訓練がどうあるべきか、「人材育成プログラム」に盛り込まれていかなければならないと感じて
  います。

◆ 「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせ下さい。

    安全・品質は事業の基盤と位置づけています。委員会活動として「安全推進委員会」、「品質改
  革委員会」、「環境委員会」等を設置し、経営トップも参画して活動を推進しています。一番大切
  なのは、日頃の言動も含め安全・品質は“会社TOPの最大の関心事“だと常に示すことです。当
  社では、定期的な巡回・点検などもありますが、何かあれば直ちに現場に出向いていき、点検・対
  策確認を行っています。並々ならぬ関心を寄せていると、常に社員に示す必要があります。

  当社では4年前から「CSR委員会」を設置し、その委員会の中で、環境問題や社会貢献活動等
  に取り組んでいます。この委員会の長は社長です。CO排出規制、VOC排出規制、廃棄物規制
  振動・異臭対策等が環境問題のテーマです。この内CO排出規制については、現有設備の「省
  エネ活動」、重油からガス・電気化への「エネルギー転換」、物造りのベースを見直す「生産技術
  革新」、を活動の3本柱として京都議定書に沿った目標達成を目指して取り組んでいます。昨今の
  生産量縮小に伴い、総量規制から原単位規制へ変更し進めています。

  また、社会貢献活動の一環として、大山川堤防などの清掃活動を行っています。水は随分きれい
  になり、合せて周辺もきれいにしようという思いです。9月は当社の環境月間であり、大山川堤防
  の清掃活動には私も参加します。また、会社としての取り組みではありませんが、会社OBなどが
  「大山川を守る会」にて、雑草取りなどをやって頂いています。

◆ 東海地区副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなどお聞かせ下さい。

   協豊会は、トヨタさんのものづくりの理念・文化に、共鳴・賛同している企業の集まりと考え
  られます。協豊会活動の素晴らしいところは、新たな価値を産み出そうと努力し、非常に真面目
  に取り組んでいる姿勢だと感じています。長年に渡るトヨタさんのご指導や、協豊会活動に携わ
  ってきた諸先輩方々の努力の成果と思います。

  今年度 東海地区副会長に拝命されましたが、是非 関連する皆さんと一緒になり、これまで
  以上に、価値あるものを産み出せる活動をしていきたいと考えています。

◆ その他ご趣味・座右の銘についてお聞かせ下さい。

  家庭菜園で野菜作りをやっています。家庭菜園は非常に手間隙が掛かります。会社では常に合
  理性を追求している訳で、その相反するギャップが面白いと感じています。

  また、体力維持の為、ゴルフや毎日4km程をウォーキングしています。ゴルフは、年齢を重
  ねても上昇志向が持ち続けられるスポーツということで興味があります。

  座右の銘ということではありませんが、「柔にして剛、剛にして柔」という言葉を好んで用い
  ています。これは防振ゴムに求められる機能そのものであり、一つの製品の中に相反する機能の
  両立を図るために材料開発、構造開発を通して技術のブレークスルーに挑むことを表しており、
  あらゆる技術的進歩の根源をなすものと考えています。又人間性についても、情理を兼ね備えた
  人間性を理想としています。

本日はお忙しいところ、ありがとうございました。


                               成瀬副会長を囲んで
                 勝丸広報副委員長(西川ゴム工業㈱ 常務取締役):左         
                     石塚広報委員長(太平洋工業㈱ 取締役専務執行役員):右から2人目
                     鈴木事務局長:右