三五の森 10年後を見据えておじゃまします  ―協豊会 恒川東海地区代表副会長に聞く

 

 

 協豊会 広報委員会は、9月10日、㈱三五の『ECO35』に於いて、恒川東海地区代表副会長(株式会社 三五 社長)にインタビューを行いました。

 三五さんは、昭和3年の創業以来 創業80周年を越え、『ECO35』の『三五の森』に代表されるように、環境を意識した取り組みが図られています。日頃の思いについて、率直なご意見やお話しを伺いました。

 

◆ 三五さんの会社概要、沿革についてお聞かせ下さい。

 昭和3年6月、祖父である恒川利三郎が「恒川鉄工所」を創業、厚物プレス加工を開始したのが始まりです。昭和12年に、豊田自動織機製作所自動車部さんで国産自動車の試作が行われていた当時、恒川鉄工所にプレス部品の注文があったことが、トヨタさんとの取引の始まりです。 現在は『排気システム』の会社と見られますが、このように原点はプレス加工業でした。もちろん、プレス加工は現在でも大きな柱のひとつで、フレームやメンバやシェル等のボデー部品を造らせていただいてます。 また、意外と知られていませんが、鉄鋼二次加工品も大きな柱です。特に、引抜磨棒鋼や造管等を合わせた取扱い量においては、高炉メーカーさんを除いて日本最大です。

排気システムは、マフラーやエキゾーストマニホールド(エキマニ)や触媒コンバータなどで構成される機能システムですが、これらについては昭和37年頃には評価設備(無響室や計測器)と研究開発組織を設けて、早くからトヨタさんのマフラー製造メーカーの指定を受けることができました。 排気システムで特筆すべきこととして、トヨタさん初の量産『パイプ・エキマニ』や、『可変マフラ』の初期開発から生技開発、量産までを任せていただいたこと、また、『スピニング加工』を活用して触媒コンバータ・ケースの一体形成を世界に先駆けて進め、トヨタさんへご提案できたことなどがあります。 特に、スピニング加工は埋もれた技術でしたが、これを見出してプレス品の溶接構造の代替工法として生技確立し、それが現在は触媒コンバータ製法の世界標準になっていることは自慢であります。 その際に、中心軸を偏芯させられる『偏芯スピニング工法』、および中心軸を曲げられる『傾斜スピニング工法』を独自開発しまして、これらが各国で特許権網として成立していることも嬉しい実績です。 最近では、トヨタさんのLEXUS LF-Aの排気システムにおいて、〝フォルマント解析〟を用いた独自の排気音色造り込みシステムを駆使して、トヨタさんのご希望の排気音を創出できたこと、難加工であるチタン材の深絞り成形法を開発しチタンマフラの量産化に貢献できたことも、誇りであります。 生産につきましては、トヨタ生産方式を昭和51年に導入し、昭和60年にはトヨタ品質管理賞優秀賞を受賞しています。 海外拠点は、昭和60年の米国拠点ASI(アービン・サンゴ)を皮切りに、タイ・トルコ・中国(2拠点)へ進出いたしました。 現在の株式会社三五は昭和25年に設立され、2008年6月に創業80周年を迎えました。 恒川鉄工所の創業の地は名古屋市熱田区ですが、昨今の環境の移り変わりもあり、2005年にその名古屋工場を閉鎖し、80周年事業の一環としてマフラーミュージアムやコミュニケーション、研究開発の総合拠点としての『ECO35』を設立いたしました。 「ECO」の名前の由来は、E棟(発見/Experience)+C棟(研修/ Communication )+O棟(創造/Origination)の3つの建物名称にちなんでいます。 「人-もの-環境」の調和を図るため、「三五の森」づくりをはじめとした環境への取り組みにも力を入れることで、お客様のみならず地域の皆様にも愛される企業であることを目指しています。  

  三五さんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。

 ㈱三五は、創業80周年を機に、基本理念の下に『ビジョン2020』を策定しました。「ひとづくり」「ものづくり」「環境づくり」を掲げ、それらを具現化し推し進めていく途上で、リーマン・ショックや為替問題、そしてこの度の震災がありました。環境の変化が大変大きく、どのように対処をしていくのか、どのように変化点を取り込んでいくのか、現在、思案を巡らせているところです。

『次世代自動車』への転換など、今後 自動車産業も様々な大きな変化が予測されます。 如何にタイミング良く、何が節目か?どれくらいインパクトがあるのか?いつ頃までにやるべきか?、こういった点に焦点を合わせてやっていけば、乗り切っていけるものと考えています。 会社には目先の課題と将来の課題があり、その両面に対して力を注がねばなりませんが、どうしても近視眼的に、取り敢えず目先のことを追ってしまいがちです。将来課題をしっかり明示して、それを共有していくことが社長としての仕事と考えています。 海外展開に対しては、各事業体でその歴史・規模などにバラツキがありますが、総じて国内からは新たに人手を送りにくい状況にあり、現在では海外事業体から、新たな進出先へ支援に出向いてもらうようにするつもりです。これからは、親会社としては子会社に対してのみならず孫会社にも、バックアップをしっかりやっていくことが重要だと考えています。  

  「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせ下さい。

 安全は、残念ながら数年前に子会社で重大災害を出してしまいました。安全対策については、なかなか『これだ!』という決め手はありませんが、地道な活動ながら、今できることを繰り返しやっていく愚直な〝ひたむきさ〟が大切だと考えています。

品質は、昨年トヨタさんから『品質優秀賞』の表彰を頂きました。これは25年振りの受賞となるのですが、この受賞をフロックにせず、是非今年も『品質優秀賞』の継続受賞にチャレンジしようと社内を鼓舞しています。 最近、どのお会社も品質レベルが上がってきています。 三五の取り組みとしては、『ピカピカ80』活動として、〝設備や冶具などをきれいにする〝ことを4年前から始めています。今年度は、モデルラインにおいて〝加工点〟をしっかり見切ろう、前工程でトラブルがあれば必ずそこで止めよう、出荷場まで不良品を流さないようにしようと取り組んでいます。 環境については、前に申しましたように創業の地に『ECO35』をオープンしました。先にも述べましたが、この施設は主に3棟の建物、展示棟(Experience)、交流棟(Communication)、開発棟(Origination)から構成されています。「陰陽五行説」の「五行相生」の思想から、3つの建物と水盤としています。また敷地周囲を巾の広い緑地帯で囲むなど敷地面積の30%以上を緑化していることも特徴の一つとなっています。熱田の創業の地に鎮守の森を復元することを目指しており、10年後には主役である『三五の森』が建物を覆い隠すことを意図しています。 若い人も経験豊かな人も、ここをもっと利用してもらい、ここがきっかけになって環境に興味を持って、地域との共生も考えてくれればと思っています。

  東海地区代表副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなどお聞かせ下さい。

今回の震災対応では、協豊会としての双方向コミュニケーションの取り組みは、正直できませんでしたが、これを教訓にして今後は積極的に取り組んでいきたいと考えています。 幹事さんやメンバー会社がざっくばらんに意見を述べられるような雰囲気づくりをしたいと思いますし、経済環境もますます厳しさを増すと思われるので、これからやりたいこと、やっていかなければならないことなど、そういったことを会として取りまとめていければ、いろいろなことができる可能性があると感じています。

 

  その他ご趣味・座右の銘についてお聞かせ下さい。

 現在、気功を始めたばかりで、チャレンジ中です。中国人師匠のご指導は月に1回、あとは毎日自分でやり続けるしかないという厳しい(?)やり方です。やってみると、身体的にも気分的にも良くなります。気功とは、気を集中させ、まず自分を精神的な面でコントロールすることが大切と教わっています。非常にレベルが高そうですが、将来的には太極拳と結び付けたいものです。

 

本日お忙しいところ、ありがとうございました。

 ECO35の森  マフラーミュージアム
恒川社長(中央左)を囲んで・・・
石塚広報委員長 (太平洋工業㈱ 取締役専務執行役員):中央右
勝丸広報副委員長 (西川ゴム工業㈱常務取締役):左
本多事務局長  :右
 
   協豊会タイム
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