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◆ 曙ブレーキ工業さんの会社概要、沿革についてお聞かせください。
その後、第1の転換期は、1960年に世界的なブレーキメーカーだった米国ベンディック社との技術提携をおこなったことです。この契約の実現を契機に、海外メーカーから積極的に技術を導入することで、曙ブレーキは総合ブレーキメーカーへ飛躍しました。 第2の転換期は、1986年にGMとの合弁会社「Ambrake Corporation」を米国ケンタッキー州エリザベスタウン市に設立したことです。 トヨタさんが米国で生産をされるということで、本来であればベンディックス社との合弁を考えていましたが、ベンディックス社が「米国は自分の市場だから、曙ブレーキと提携しない。」ということ になり、話が潰れてしまいました。そこで、日本のサプライヤーに興味を持っていたGMと一緒に工場を造ることになりました。 ビッグ3向けを受注したいということで、1989年にミシガン州デトロイト近郊に研究開発センター「Akebono Brake Systems Engineering Center Inc.」を開設しました。 その後ケンタッキー州に生産拠点を合計4箇所設けましたが、2000年代半ばからビッグ3の経営がだんだんおかしくなり、組立工場の操業度も落ち、GM車の在庫もどんどん積みあがってきたことから、2008年9月のリーマンショックの直前である8月末までに2拠点を閉鎖しました。 第3の転換期は、ボッシュ北米ブレーキ事業の2工場を譲り受けた2009年で、2010年から、曙ブレーキは、さまざまな価値観を持った社員が、お互いの良さを融合させるという、真のグローバリゼーションへと突入していくことになりました。 <span style=’font-size:12.0pt;font-family:”MS 明朝”;mso-ascii-font-family:Century; mso-hansi-font-family:Century;color:blue’>◆ <span style=’font-size:12.0pt;font-family:”MS 明朝”,”serif”;mso-ascii-font-family:Century; mso-hansi-font-family:Century;color:blue’>曙ブレーキ工業さんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。<span lang=EN-US style=’font-size:12.0pt;color:blue’>
私は1990年に社長に就任したとき、曙ブレーキがグローバルで生き残っていくためにはどう すれば良いかを考えました。エンドユーザーがブレーキをどう考えているのか、何を期待しているのかを知ることが重要で、そのために曙ブレーキの技術を再構築したいと思いました。 曙ブレーキは日本の会社で、日本のカーメーカーさんに育てていただきましたが、独立系として提案型の企業となって生き残るためには、欧州事情を知らなければならないと考え、日・米・欧の3極体制の確立を1990年代から目指しました。
欧州というのは非常に手強い。なかなか入りにくく、しかもブレーキが難しい地域でした。 ディスクブレーキ・ドラムブレーキのメカ全体を生産する投資は非常にリスキーで額も大きいため、補修品市場も期待できる摩擦材でビジネスをおこなうことを考え、1995年にパリ近郊に研究開発センターを設立しました。その後1998年には、フランス生産拠点「Akebono Arras S.A.」を設立しました。 2001年には、開発の主要拠点があった埼玉県羽生地区全体をAi-City(Akebon Innovation-City)とし、ITを最大限活用した人材資源の効率化、開発・営業・管理などの本社機能の集約化、業務統合と仕事の進め方の抜本的改革を進めています。 人が集中すると、会議に集まる時間のロスや、連絡員を置く無駄が省けたため、マウンテンバイクや自動車競技用のハイエンドのブレーキ開発に人材を投入することができるようになり、2007年にはF1のマクラーレンにも納入することができました。こういった取り組みのおかげで、やっと欧州におけるプレゼンスが向上し、日・米・欧の3極体制ができあがりました。 その間にアジアや新興国がどんどん伸びており、今までの3極体制からグローバル体制が必要となり、グローバルネットワークの確立を進めています。 現在経営の3本柱は、1.お客様第一、2.技術の再構築、3.グローバルネットワークの確立 としています。 1999年には、不動産事業の失敗から、もう一度曙ブレーキを創りなおしたいと思い、「曙の理念=私達は、摩擦と振動、その制御と解析により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けて行きます。」を定めました。この理念は、当時20数人いた役員が2日間缶詰になって、短い文章の中に大体の方向性とコア技術=コアコンピタンスを入れました。 2005年には、部長クラス22人が缶詰になって、ブランドステートメント「さりげない安心と感動する制動を」を作り、CB(コーポレートブランド)活動を開始しました。その理由は、曙の理念が分かりにくいという意見があったこと、ブレーキは価格競争が厳しく、重要な部品だけれども儲からないため、一所懸命造っている工場の人達のモチベーションが上がらない部品だったことから、外に対するブランドというより、まず自分たち内部でのブランド=インターナルブランドを考えていこうとしました。最初のステートメントは理念・経営の3本柱・行動規範に通じておらず、再び1ヶ月をかけて、最後は徹夜で分かりやすいブランドステートメント案を作ってもらいました。いまだにCB活動は展開中ですが、だいぶプライドを持って仕事をしてもらえるようになりました。 1986年1月26日に、トヨタの生産調査室室長だった好川さんを訪問してTPSをやりたい旨相談すると、「あなたがやるのであれば、やってもいいよ。」と言っていただき、TPSをベースとした「APS=Akebono Production System」に取り組み始めました。今ではその日が曙ブレーキのAPS記念日になっています。TPSは管理手法であり、管理哲学であり、経営思想にまで繋がっており、APSを全てのモノづくりの原点として、いまだにこだわって「永遠のムダ取り」に取り組んでいます。 APS大会を年に1回開催していますが、最初に好川さんに言われた「あなたがやるならいいよ。」という言葉がずっと残っており、信じ込み・惚れ込んでやっています。可能な限り工場へ見に行きますが、行くときは事前に連絡しません。TPSは信じ込みがないと難しいと思います。今はもう一度原点に戻り、何のために改善するのか突き詰めて考えることに力を入れています。結果として儲けに繋がり、資金の回収が早くなることになるかも知れませんが、実際に作業している方が、本当に作業がし易くなって、本当に自分のためにやってくれているのが信じられたら、言われた内容に真摯に取り組んでいただけるし、何かおかしいことがあれば言ってくれると思います。 数年前からモノづくり道場を小さいながらも手作りで進めています。現在はAPS道場・品質道場・安全道場があり、海外からも人を呼んだり、日本から人を派遣したりしていますが、これからは派遣するのは止めて日本に来てもらい、どういう考え方をしたから改善が成立したのかを学んでもらう。そういう形に変えたいと思っています。◆ 「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせください。
曙ブレーキは、地球環境問題を経営の最重要課題のひとつと捉え、地球規模の環境保全に努め、企 業としての社会的責任を果たしたいと考えています。1994年には地球環境委員会を設立。2001年には環境基本理念・環境基本方針・を制定し、持続可能な企業活動と、持続可能な社会の実現両立に向けて、取り組みを展開しています。 今年は東日本大地震のために電力事情が悪くなり、結果として電力消費量を抑えてモノづくりをせざるを得ない状況となりました。これからはモノをつくる過程においてもっと省エネを考え、エネルギー効率を高めることでコストを下げることも考えられます。 また、廃棄物の処理コストがどんどん高くなることが予想されますので、廃棄物を出さない工程も必要となってくるでしょう。 地震対策を言うと、以前から徹底したシミュレーションをおこなっていたおかげで、今回もすぐに日本橋グローバル本社に災害対策本部を立上げ、その日からいろいろな活動を始めることができました。 曙ブレーキの安全衛生健康活動は、中央安全環境委員会を頂点とするakebono安全衛生マネージメント体制により、社員の安全と健康を確保し、緊急事態の発生防止を徹底しています。 トヨタさんにも工場に来ていただきますが、社内で当たり前だと思っていることを改めて気付かされることがたくさんあります。昔は休み中の工事で事故がおきたことがあり、今では業者の方が工場に入るときは安全点検を徹底しています。いまでは、お客様に「曙ブレーキは本当に重大災害がないね。」とよく言われます。 曙ブレーキは、トヨタさんから6年連続で「品質管理優秀賞」を受賞しています。全社を挙げた品質管理の取り組みとその成果が評価されたと受け止めています。 GMとの合弁開始時巨大企業のGMに対し、我々に提供できるのは品質しかないと考え、品質だけは徹底的にやりました。社長自ら選別を一緒にやったり、急いで現場に行くため、そんなに遠くないところへもプロペラ飛行機をチャーターして行かせたりしました。◆ 関東地区副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなど。
◆ その他、ご趣味についてお聞かせください。
石塚広報委員長 |
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